本当に必要な共用施設
共用施設とは・・・
“共用施設”。
複数の人々が生活するマンションには必ず必要になってくる共用施設。
それは、共用部分のなかにある特別な施設を意味します。
マンションが大きくなり、居住する人間が多くなればなるほど、共用施設は豪華絢爛になっていきます。
そのマンションに住むことによってのみ得られる満足感・優越感を表現するため、共用施設はかっこうの宣伝材料になるのです。
その共用施設は本当に必要であるかをみきわめることが必要になってきます。
そこを使用するのはいつ・・・
庭・・・○○○ガーデン
まずは、外部から。
マンションがある程度の規模になっってくると、“○○○ガーデン”とか“×××センターコート”などと名前のついたマンション専用の庭があります。
もちろん外部空間からは隔離されていて、マンションの住人のみがそこに入ることを許されます。
パンフレットでは、美しい緑と噴水などが鮮やかなコンピューターグラフィックで描かれ、優越感を触発されます。
このような専用の庭を配置しているマンションは、やはり、この美しい外部空間をちからいっぱい宣伝します。
その効果は絶大なはずです。たしかにあるにこしたことはありません。
では問題はなんなのか・・・。
それは、管理の大変さです。
美しい緑や、清潔で透きとおった水。これらを維持管理することの難しさ、さらに難しさゆえのコストの問題。
それはすべてマンションの“管理費”に跳ね返ってきます。
何百という住戸があるから微々たるものという感じがします。しかし、巨大なマンションには他にもたくさんの共用施設があるのです。
エントランスのラウンジスペース
上のイメージ画像ですが、これもある大きなマンションのエントランスラウンジのイメージCGです。
高い天井のエントランスに、いくつものラウンジセット。ガラスの向こうには池のある専用庭です・・・ステキですね。
仕事柄、こういうマンションにも訪れますが、このようなスペースがかっこよく使用されているところは見たことありません。
だれもいないでホコリをかぶっているか、子供の遊び場になっているかです。
このスペースの維持管理費用も、もちろん管理費に入っているのです。
この椅子やテーブルがこわれたら、また購入するのでしょうか・・・積み立て修繕金を切り崩して・・・。
あるマンションのエントランスホール
このマンション、エントランスホール内に階段があります。
階段を上るとラウンジスペースになっています。
内覧会で図面のチェックがしたいというと、このスペースに案内されました。この日はこのスペースを使うことのない予定だったらしく、インスペクターを他の住人に見せないためには好都合だったのでしょう。
この日は2月の終わりの快晴の日。日陰にはいるとまだ寒い日でした。
このエントランスホールはガラス張りの空間です。冬とはいえ快晴の日差しがサンサンと入ってきます。
私は汗だくになりながら、図面をチェックしました。
このラウンジの問題は温熱環境です。
この時期にこの暑さ。春から夏にかけてはいったいどうなるのでしょう。エアコンをかけてもいいのですが、だれもいないラウンジのためにとても大きな出力のエアコンを使用することになります。
このスペースのゆくすえが見えてきます。
スポーツジム
居住者の健康の維持をはかるため・・・なんていうコピーで、スポーツジムを併設しているマンションもあります。
高価な運動用のマシンがいくつも設置されています。なかには専用のコーチングスタッフまで雇っているところもあるぐらいです。
もちろんこの費用も管理費にくみこまれています。
スポーツジム・・・あなたは使用しますか?
どちらかといえば、ジムではひとりでもくもくと体を動かしたいものです。
このような理由からか、お金をもらって外部の人も使えるようにするジムにするところなどもあります。
本末転倒です。
温泉施設
最近、とても増えています。
ちょっと前までは、温泉地のリゾートマンション限定だったのですが、日本という国はある程度の深さまで掘ればだいたい温泉がでるそうなのです。
掘削費用は1億円程度と聞いたことがあります。住戸数500戸のマンションであれば、1戸あたり20万円也!で温泉が掘れるわけです。
これは宣伝効果絶大ですよね。1戸の販売価格が20万円増えただけで温泉がつく!ディベロッパーは、とびつきます。
このあいだ、そんなマンションの温泉に入ってきました。共同の浴室スペースで、岩風呂風になっていました。とても清潔で、快適でした
ほぼ貸切でした。なぜかみなさん、ほとんど利用しないようです。
やはり、温泉というのはたまに行くからいいのでしょうか。
また、各住戸に温泉をひいてある物件もあります。
こちらのほうが、温泉を利用しやすいでしょう。
温泉は、地下からポンプでくみ上げます。また、温度があまり高くない場合などもあり、その場合、沸かしなおさなければなりません。
これはすべて、管理費でまかなわれています。
また、温泉システムはメンテナンスにも多大な出費を余儀なくされます。故障などした場合はかなりの金額の補修費用を覚悟しなければなりません。
これだけのことをふまえたうえで、“温泉付き”にメリットを感じるかを考える必要があります。
ゲストルーム
そのマンションに泊まりに来るお客さんに、専用のゲストルームを用意しているマンションもあります。住戸数は500戸を超えないと難しいでしょう。
例えば、地方に住んでいるご主人のご両親がでてきました。我家に泊めるのは厳しいし、かと言ってビジネスホテルもちょっと・・・というときにとても重宝します・・・なんていうふれこみでしょう。
実際、週末や正月、お盆、GWなどの時期は、予約が大変でしょう。500家族以上がひとつのゲストルームを使用するのですから。
逆に平日は、ほとんどあいているようです。
作りも豪華なこのお部屋。管理費をだすのは、やっぱり居住者の方たちなのです。
共用施設に望むもの
シンプル イズ ベスト!
共用施設というものは、居住者の負担が少なく、かつ便利であることが重要視されます。
上記のものも、運営方法や維持管理システムの方法などによって、とても有意義な施設に生まれ変わることも考えられます。
ディベロッパーは、とにかく販売のことを考え、そのマンションに
“他にはない特別はモノ”を演出します。
その演出に惑わされず、本当に必要な施設と設備と空間を、しっかりと見極めましょう。
使い安い立体駐車場や、マンションの住戸配置にあったエレベーターの位置なんていうのが、そのとてもよい例です。
使いやすさを考えてある生活のデザインができていることが大切なのです。
快マンションコンサルタント 所長 黒羽雄一
保有資格
- 二級建築士 登録番号21115号(神奈川県)
- インテリアコーディネーター 登録番号054355A
- 住宅性能評価士 録証番号18011042