モデルルームとは・・・
ここを見ずにははじまらない!
モデルルーム・・・最近ではマンションギャラリーなんてしゃれた言い方もあるようです。
マンションになにがしかの興味を覚えたとき、最初に行動するのがマンションモデルルームの見学ではないでしょうか。
とりあえずどこでもいいから行ってみるとか、そのマンションに興味があるから行ってみるとか、モデルルームに行く人の理由はさまざまでしょう。
雑誌やホームページなどからではわからない“体感”というものを求めてそこに足を運んでしまうのは当然のことです。
マンションのモデルルームというのは、完成していないマンションを販売するための“販売促進ツール”です。
はっきり言えば、本物を見ないうちにとても高価なものを顧客に買わせてしまうハリボテなのです。
そこには早く売りきってしまいたいディベロッパーの策がわんさと詰まっています。
ハリボテから垣間見る“実物”をそこから判断しなければならないのです。
住戸のタイプが・・・
最初のマジック
さぁ、モデルルームにやってきました。アンケートに交えて名前、住所などの顧客情報を書かされます。その後、数分の営業トークを聞いたあと、やっとモデルルームを見学できることになります。
モデルルームはスッとは見せてくれないものなのです。
住戸数の多いマンションなどでは、モデルルームにお金をかけられるため、小さな映画館が用意され、購買欲を高めるための映画(住環境や豪華な共用施設の宣伝)などを見せられたりすることもあります。
さぁ、やっとのことで入室です。
案内されるモデルルームは、そのマンションのなかでもっとも多いプラン(間取り)のタイプ・・・ではなく、多くの場合もっとも広く豪華なタイプの部屋が用意されています。
自分達が購入を考えているプランとは別のもっとも魅力のあるプランのモデルルームで、正確な判断をしろというのが無理な話です。
ここでのカン違いは、最後に大きなしっぺ返しとなります。
いま見ている広くて明るいリビングダイニング、ゆったりとしたキッチン、それらは購入予定のお部屋にはないかもしれないのです。
オプションのお話
小さなシール
モデルルームに入ると、図面からは判断できなかった壁や床の色、扉やドアノブ、水まわりの質感などを体感することができます。
リビングにはタイルを張った壁があり、その横には作り付けのデザインされた家具があります・・・ちょっと待ってください。その壁や家具には小さいシールが貼ってありませんか?
“オプション 詳しくは係りのものにおたずねください。”
なんてことが書いてあったりします。
よく見ればあそこにもここにもと発見することができるでしょう。
そうなのです。あなたは豪華なプランの部屋にいるだけでなく、たくさんのオプションの施された部屋にいるのです。
実際の部屋は、壁、天井は白系のクロスのみ、はやりの部分張りなんてありません。
リビングの壁にすっきりと納まっている作り付けのデザイン棚ももちろんオプションです。
販売を促進するための素敵な部屋の演出です。
実際はほとんどのかたが、オプションを付けずに購入していくそうです。
そりゃそうです、棚ひとつがン十万円とか聞けば、たいがいの方はそんなオプションはつけないのです。
では、なぜそんなことをするのか・・・それは、その部屋の見た目の価値を引き上げるためなのです。
家具
目の錯覚
生活間を演出するために、モデルルームには家具が配置してあります。
リビングダイニングにはソファやダイニングセット、個室にはベッドや本棚、和室には座卓や衝立(ついたて)、キッチンには食器棚・・・。
あなたはこの家具によって、マンションでの生活をより想像しやすくなるでしょう。
この家具にも問題があります。
例えばダイニングセット。4人掛けの椅子とテーブルに食器がセットされ、植物やワインのボトルなどがところせましと置いてあります。
よく見てください。そのテーブルの大きさを・・・。
テーブルの大きさを計算するときの最低の数字が1人に付き巾60センチ、奥行き30〜40センチです。4人が向かい合わせに座ると、120センチ×70〜80センチです。この大きさがあくまでも最低の大きさです。
わたしがテーブルを設計するときには4人掛けで、巾140センチ以上、奥行き85センチ以上で考えます。お鍋やホットプレートなどを出すと、このぐらいは必要なのです。
なぜこんなことをするのか・・・。
家具が小さいと、部屋にゆとりがあるように見えるからです。
これは、実際にある話です。
もうひとつ。
バルコニーの広さ(奥行き)です。
モデルルームでバルコニーにでると、とても広く感じてしまうということなのです。
最近は、ほとんどのマンションが奥行き2mを確保しています。ただし、これは有効が2mなのではなく、バルコニーの先端までが2mなのです。
マンションの構造によってなのですが、バルコニーの手摺が梁を兼ねている場合があります。この場合、梁の巾分、有効が少なくなります。
モデルルームについているバルコニーは、たいてい場合、モデルルームがある建物の内部に設置されています。バルコニーの手摺のさきに壁があるということです。
この状態でバルコニーに出ると、外がひらけてない分、バルコニーが広く見えるのです。
上記の手摺が梁の場合など、入居後に狭いと感じてしまうことがあります。
逆に2m以上あればいいのかということになりますが、バルコニーは下の階から見れば庇(ひさし)です。2m以上の庇は、必要以上に日光を遮ります。2mというのがいいところでしょう。
家具の配置
例を挙げてから話にはいりましょう。
とあるモデルルームのリビングの写真です。ソファの後ろの壁には石系のタイルを貼ったりとオプションてんこ盛りに仕上げてあります。
問題は、そのオプションではありません・・・。
右側の写真にその理由があるのです。
見事に演出されたリビングです。このリビングの手前側(写真を撮っている側)にはダイニングセットが置いてあります。
・・・なにかがありませんねぇ。
そうです、テレビです。このリビングにはテレビがないのです。
不思議なことではありません。モデルルームのリビングではよくあることなのです。家具の設置まで考えて部屋を作っていないからです。
その証拠が、右側の写真なのです。
モデルルームというのは、実際のマンションと見た目は同じになるように造ってあります。(そうでなければ契約違反ですから)
もちろんコンセントやテレビのアンテナジャック(最近はケーブルテレビやインターネット回線などもここにまとめて、マルチメディアコンセントと呼ばれています)の位置もそうです。
右側の写真は、そのアンテナジャクの写真です。
これが設置してあるのは、ソファの横のグリーンのあるところの壁です。石系のタイル貼の壁があるので位置はわかると思います。
・・・ここにアンテナが来ているのに、このリビングにはソファが置いてあります。ではテレビはどこに置くのでしょうか・・・。
結局はテレビを置いた配置にすると、ソファがリビングとダイニングを分断するカタチのなり、部屋が狭く見えてしまうのです。それを嫌って、テレビを置かない配置にしてあるのです。
実際にこのタイプの住戸を購入した人は困っているでしょう。
このように、モデルルームには見なくてはならないポイントがたくさんあるのです。
そこを確実に見定めて、マンション購入を検討してください。
快マンションコンサルタント 所長 黒羽雄一
保有資格
- 二級建築士 登録番号21115号(神奈川県)
- インテリアコーディネーター 登録番号054355A
- 住宅性能評価士 録証番号18011042